大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)747 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人福田覚太郎、同中直二郎の上告理由第一点について。

論旨(一)は、昭和二九年七月頃上告人が従来の寿司屋単独経営を止めDとの雇

傭契約を合意解約して係争の家屋から退去したとの原審の事実認定および証拠の取

捨判断を非難するものでしかなく、上告適法の理由とならない。

論旨(二)は、理由齟齬の違法をいうが、右は原審が認定した上告人とD間の寿

司屋経営契約が両者対当の立場において締結され履践されたものであつて右Dは上

告人の使用人又は占有補助機関として、あるいはその他の従属関係において占有使

用しているものでないとの事実を否定し、原判示にそわない事実に基いて原判決に

所論違法ある如く主張するものにすぎず、前提を欠き採用しえない。

同第二点について。

論旨は原審の民法六一二条の適用を非難するけれども、原審の認定した事実関係

の下では被上告人が昭和三一年一〇月二三日上告人に対してした「無断転貸に基く

契約解除」が適法有効であるとした原審の判断は相当である。けだし、賃借人の行

為を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情のあるときは、賃貸人

は民法同条二項による解除権を行使し得ないものと解すべきであること、論旨引用

の判決(昭和二五年(オ)一四〇号同二八年九月二五日第二小法廷判決、集七巻九

七九頁)より後に言渡された当裁判所の判例の趣旨とするところだからである(昭

和二八年(オ)一一四六号同三〇年九月二二日第一小法廷判決、集九巻一二九四頁、

昭和二九年(オ)五二一号同三一年五月八日第三小法廷判決、民集一〇巻四七五頁)。

論旨は理由がない。

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上告人提出の昭和三二年一二月一九日付上告理由追補申立書と題する書面は上告

理由書提出期間経過後の提出にかかるものであるから、その論旨については判断を

加えない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 高 橋 潔

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